未成年の方の相続放棄
1 民法の規定
民法5条1項本文は、未成年者が法律行為をするにはその法定代理人の同意を得なければならないと規定しています。
また、民法824条は、親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表するとし、子の親権者が子の法定代理人になることを規定しています。
相続放棄は法律行為となりますので、未成年者が自分で相続放棄の申述を行うためには、親権者の同意が必要となります。
ただし、民法3条の2は、法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効とすると規定していますので、例えば一般的に意思能力を有しない3歳の子は親権者の同意を得ても相続放棄の申述を行うことはできません。
また、親権者は子の法定代理人となりますので、子を代理して相続放棄の申述を行うことができます。
子に意思能力がない場合は必ずこの方法によらなければならないことになります。
なお、実務上は、未成年者の相続放棄は法定代理人(多くは親権者)が子を代理して行うことがほとんどで、裁判所が提供している相続放棄申述書の書式も、法定代理人が子を代理して行う形式を前提に作成されています。
2 いくつかの注意点
⑴ 父母が親権者の場合
民法818条3項本文は、親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行うと規定しています。
そのため、父母が親権者の場合は、父母が共同して子を代理して相続放棄の申述を行う必要があります。
⑵ 利益が相反する場合
例えば、父、母と未成年の子が一人いる家族のケースで、父が死亡して相続が発生した場合において、母が子を代理して相続放棄の申述を行う場合、母があらかじめ自身の相続放棄をしているか、または子と同時に相続放棄の申述を行わない限り、子を代理して相続放棄の申述を行うことはできません。
なぜなら、このケースで子について相続放棄を行うと、子は相続権を失い、他方、第1順位の相続人(被相続人の子)がいなくなったことにより母の法定相続分は増えますので、母と子の利益が相反することとなりますが、民法826条1項は、親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならないと規定しているからです。
他方、父、母、未成年の子二人(AとB)の家族の場合で、父が死亡し、母が、母自身とAの相続放棄の申述を行う場合も、Aについては特別代理人の選任が必要になります。この場合、Aについて相続放棄を行うと同じく母が親権を行使するBの法定相続分が増えることとなり、AとBの利益が相反することになるからです(民法826条2項)。

























